trixboxProは通常IDEやUSB接続のCD-ROMドライブから行いますが、外付けCD-ROMが無いアプライアンスにtrixboxProをインストールする方法を以下に記します。
手順の概要は以下の通りです。
1.MBR (マスターブートレコード)をUSBフラッシュドライブにコピーします。
2.フラッシュドライブ上に2つのパーティションを作成し、一つ目をブートパーティション、二つ目をtrixboxProのインストールデータ(trixbox Pro ISO)格納用とします。
3.アプライアンスのBIOSを調整し、USBフラッシュドライブから起動できるようにします。
4.USBフラッシュドライブからアプライアンスを起動します。
5.インストールメディアの場所を指定します。 (USBフラッシュドライブの第二パーティション)
6.通常通りtrixboxProをインストールします。
インストールに必要な環境:
1.USBフラッシュドライブ (at least 1GB)
2.USBフラッシュドライブを設定することのできるLinuxが稼働するPC
3.trixboxProをインストールするシステムのBIOSは USBフラッシュドライブから起動可能であること
USBフラッシュドライブを準備する:
・trixboxProのISOファイルをダウンロードします。以下のURLからダウンロードしてください。http://www.trixbox.com/pro-iso
ダウンロードしたISOファイルを、一度Linuxシステムにコピーします。簡単な方法は WinSCPを使うことです。 WinSCPの詳しい説明はこのドキュメントの範疇を超えていますのでここでは割愛します。
WinSCPを使用してLinuxシステムにログインします。そして、trixboxPro.isoをLinuxシステムの /tmp ディレクトリにコピーしてください。
Linuxシステムのコンソール画面から続く作業を行います。もちろんWindowsシステムからPuttyなどのクライアントソフトウエアを通じて行うことも可能です。
ディレクトリを /tmpに変更します:
cd /tmp
ISOファイルをマウントするためのディレクトリを作成します:(ここではtrixboxとします)
mkdir trixbox
ここで /tmp/trixboxという新しいディレクトリが作成されました。続いてtrixboxPro.isoファイルをこのディレクトリにマウントします:
mount -o loop -t iso9660 /tmp/trixboxPro.iso /tmp/trixbox
cd /tmp/trixbox/images
ls -la
total 11622
dr-xr-xr-x 3 root root 2048 Sep 15 2006 .
drwxr-xr-x 8 root root 4096 Apr 17 00:12 ..
-r–r–r– 1 root root 5599232 Sep 15 2006 boot.iso
-r–r–r– 1 root root 6291456 Sep 15 2006 diskboot.img
dr-xr-xr-x 2 root root 2048 Sep 15 2006 pxeboot
-r–r–r– 1 root root 662 Sep 15 2006 README
-r–r–r– 1 root root 881 Apr 17 00:13 TRANS.TBL
必要なのはdiskboot.imgファイルです。これは USBフラッシュドライブにインストールすることでOSを起動するためのものです。
では続いて、必要なファイルをUSBフラッシュドライブにコピーします。
ま ず最初に、マスターブートレコードをUSBフラッシュドライブにコピーします。このために「ms-sys」というプログラムを使用します。このプログラム をダウンロードしてLinuxシステムにインストールしておきます。Linuxシステムのコマンドラインから以下のコマンドを実行してください:
cd /usr/src
wget http://voxel.dl.sourceforge.net/sour...-sys-2.1.3.tgz
バージョン2.1.3がこのドキュメント作成時の最新版です。もし、今後バージョンアップすることがあれば適宜新しいバージョン番号に読み替えてください。最新版は ここからダウンロードできます。
「ms-sys」は /usr/srcというディレクトリにダウンロードされています。これを解凍してインストールします。:
tar -xzvf ms-sys-2.1.3.tgz
cd ms-sys-2.1.3
make
make install
こ れで「ms-sys」はインストールされました。続いて、USBフラッシュドライブがLinuxシステムでどの場所に位置しているかを確認します。 Linux SATAハードディスクドライブはsda (ドライブ1), sdb (ドライブ2), sdc (ドライブ3)などとして識別されています。それで、ドライブ3の第2パーティションは、sdc2となります。
以下のコマンドを実行して、USBフラッシュドライブの位置を確認してください:
dmesg | grep ‘SCSI device’
以下のようなメッセージが表示されるはずです。:
SCSI device sda: 156299375 512-byte hdwr sectors (80025 MB)
SCSI device sdb: 156301488 512-byte hdwr sectors (80026 MB)
SCSI device sdc: 1539583 512-byte hdwr sectors (788 MB)
上 記の例は、80GB SATA HDDが2台、1GB USBフラッシュドライブが1台接続されています。上記のメッセージからフラッシュドライブが、 「SCSI device sdc」として認識されていることが分かります。このIDは利用するLinuxシステムの環境によって異なります。お手元のマシンで表示されるIDを使用 して以下の作業を行ってください。
では、マスターブートレコード(MBR)をUSBフラッシュドライブに書き込みます:
ms-sys -s /dev/sdc
MBRが正しくインストールされてことを告げるメッセージが表示されるはずです。
次に2つのパーディションを作成します。最初のパーディションはOS起動用、二つ目のパーティションはISOデータを格納するためのものです。
fdisk /dev/sdc
「p」はパーティションテーブルの表示、「d」は既存のパーティションを削除するためのものです。:
――――――――–
Command (m for help): p
Disk /dev/sdc: 1030 MB, 1030750208 bytes
32 heads, 62 sectors/track, 1014 cylinders
Units = cylinders of 1984 * 512 = 1015808 bytes
Device Boot Start End Blocks Id System
/dev/sdc1 * 1 14 13857 e W95 FAT16 (LBA)
/dev/sdc2 15 1014 992000 c W95 FAT32 (LBA)
Command (m for help): d
Partition number (1-4): 1
Command (m for help): d
Selected partition 2
――――――――――
この例では、既存の2つのパーティションを削除しています。
続いて、「n」と入力して、新規パーティションを作成しましょう。OS起動用のパーディションは13M、2つ目のパーティションは残りすべてとします:
――――――――――-
Command (m for help): n
Command action
e extended
p primary partition (1-4)
p
Partition number (1-4): 1
First cylinder (1-1014, default 1):
Using default value 1
Last cylinder or +size or +sizeM or +sizeK (1-1014, default 1014): +13M
Command (m for help): n
Command action
e extended
p primary partition (1-4)
p
Partition number (1-4): 2
First cylinder (15-1014, default 15):
Using default value 15
Last cylinder or +size or +sizeM or +sizeK (15-1014, default 1014):
Using default value 1014
―――――――――-
続 いて、「t」コマンドを使ってパーティションタイプを変更します。最初の13MBのパーティションでは「e」とタイプするか、「W95 FAT16 (LBA)」としなければなりません。2つ目のパーティションでは「c」とタイプするか、「W95 FAT32 (LBA)」としなければなりません。
―――――――――-
Command (m for help): t
Partition number (1-4): 1
Hex code (type L to list codes): e
Changed system type of partition 1 to e (W95 FAT16 (LBA))
Command (m for help): t
Partition number (1-4): 2
Hex code (type L to list codes): c
Changed system type of partition 2 to c (W95 FAT32 (LBA))
Command (m for help): p
Disk /dev/sdc: 1030 MB, 1030750208 bytes
32 heads, 62 sectors/track, 1014 cylinders
Units = cylinders of 1984 * 512 = 1015808 bytes
Device Boot Start End Blocks Id System
/dev/sdc1 1 14 13857 e W95 FAT16 (LBA)
/dev/sdc2 15 1014 992000 c W95 FAT32 (LBA)
――――――――–
fdiskの最後のステップは第一パーティションを起動可能にすることです。「a」とタイプしてください。
――――――――–
Command (m for help): a
Partition number (1-4): 1
Command (m for help): p
Disk /dev/sdc: 1030 MB, 1030750208 bytes
32 heads, 62 sectors/track, 1014 cylinders
Units = cylinders of 1984 * 512 = 1015808 bytes
Device Boot Start End Blocks Id System
/dev/sdc1 * 1 14 13857 e W95 FAT16 (LBA)
/dev/sdc2 15 1014 992000 c W95 FAT32 (LBA)
――――――――――
最後に「w」とタイプして、設定を保存します。
――――――――――
Command (m for help): w
The partition table has been altered!
Calling ioctl() to re-read partition table.
WARNING: If you have created or modified any DOS 6.x
partitions, please see the fdisk manual page for additional
information.
Syncing disks.
――――――――――
これでUSBフラッシュドライブ のパーティション設定は完了です。
続いて、 「dd」コマンドでdiskboot.imgファイルを第一パーティションにコピーします。:
cd /tmp/trixbox/images
dd if=/tmp/trixbox/images/diskboot.img of=/dev/sdc1
以下のようなメッセージが表示されるはずです:
24576+0 records in
24576+0 records out
続いて、第二パーティションをFAT32 でフォーマットします:
mkfs -t vfat -F 32 /dev/sdc2
第二パーティションをマウントし、ファイルをこのパーティションにコピーします。:
mkdir /tmp/flash
mount /dev/sdc2 /tmp/flash
ISOファイルを /tmp/flashにコピーします:
cp /tmp/trixboxPro.iso /tmp/flash
ks.cfgファイルを/tmp/flashにコピーします:
cp /tmp/trixbox/ks.cfg /tmp/flash
続いて、/tmp/trixbox/Fonalityディレクトリを第二パーティションにコピーします:
cp -rv /tmp/trixbox/Fonality /tmp/flash
これで、すべての必要なファイルはUSBフラッシュドライブにコピーされました。
さらにもう少し作業をします。まず、ks.cfgファイルをUNIXフォーマットに変換します:
cd /tmp/flash
dos2unix ks.cfg
ks.cfg (キックスタートコンフィグ)ファイルは、trixboxコンポーネントをインストールするための手順が記述されています。これがないと、インストーラー は「素の」CentOSをインストールしてしまいます。このファイルを調整して、CD-ROMを参照する部分をすべて削除する必要があります。
nano -w /tmp/flash/ks.cfg
「cdrom」と記述されている行を見つけたら、前に#をつけて
# cdrom
としておきます。これによりこの行がコメントアウトされます。次に、「clearpart –all」と記述されている行を探し、以下のように変更します。
clearpart –drives=hda –all –initlabel
(それぞれのオプションの前にはダッシュ記号がついています。また、もしtrixboxをインストールするシステムにSATAドライブが搭載されている場合は、drives=hdaのかわりにdrives=sdaとしてください)
これによりUSBフラッシュドライブ が間違って削除されることはなくなります。
続いて以下のような記述のある行を探します:
mount /dev/cdrom /tempdir || mount /dev/scd0 /tempdir
これを以下の通りに変更してください:
mount /dev/sdc2 /tempdir
これにより、trixboxのデータディレクトリとしてCD-ROMではなくUSBフラッシュドライブが使用されます。
これでUSBフラッシュドライブ の準備は完了です!いよいよtrixboxProをインストールします:
USB フラッシュドライブをターゲットシステムに装着し、システムBIOS画面に入ります。例えば、Fonalityのtrixboxアプライアンスシステムの 場合、起動中に「DEL」キーを押し続けると、BIOS画面に入れます。「Advanced BIOS Features」を選択し、「Hard Disk Boot Priority」を選びます。装着したUSBフラッシュメモリのデバイス名が表示されているはずですので、それを選択します。「ESC」を押して設定画 面をぬけます。続いて「USB HDD」を1st boot に設定し、保存します。
システムがUSBフラッシュメモリから起動すると、デフォルトでCentOSのインストール画面が表示されます。 (通常のtrixbox Pro設定画面は表示されません)プロンプトが表示されたら、以下のコマンドをタイプしてください:
linux ks=hd:sdc2:/ks.cfg
これにより、CentOSはsdc2デバイス上にあるキックスタート設定を使用してブートするようになります。インストールプロセスが開始すると、いくつかの設定を問われます:
Keyboard: US
What type of media contains the packages to be installed?: Hard Drive
What partition and directory…: /dev/sdc2 (あるいは、USBフラッシュドライブ の第二パーティション)
これで、以降はtrixboxProの通常のインストールプロセスが始まります。