御存知の通り、ビジネスフォン・システムというものは、在宅勤務者をサポートするという点で、非常に限られたものでしかありません。
その上、多くの人はオフィスでの優れた音質に慣れています。
しかしtrixbox ProのようなVoIP能力があるPBXシステムにより、規定概念は変わってきており、それら新しいシステムは、より多くの機能を持つと共に、コストの削減を実現します。
trixbox Proは、在宅勤務者がインターネットを使い、まるでオフィスにいるかのようにtrixbox Proシステムの機能を使うことができるという特徴を持っています。
遠隔の在宅勤務者との接続の音質は、いくつかの要因によって異なる可能性があります。
遠隔の在宅勤務者とオフィスとの接続は、安定したインターネット接続を必要とします。
また、電話会社は電話回線の一部(または全て)を取り替えることができる、VoIP料金サービスをベースとしたSIPやIAX2サービスを提供し始めています。これによりどんな電話からでも発着信することができるデジタル・サービスを利用することができるようになります。
この種のサービスを利用するため正しいネットワークを計画することは、良いパフォーマンスを確実にするため非常に重要になってきます。
このドキュメントは、音声品質が良くない場合の技術的な説明を含め、これらVoipに関するハイレベルな概説となります。
また可能な限り最善の在宅勤務者設定プランを立てる方法についてもいくつか提案します。
-SIP VoIPプロトコルについて-
IP電話は、SIPと呼ばれているVoIPプロトコルを使います。
これは、FTPに似たプロトコルをベースにしたUDP/IPプロトコルです。
FTPはTCPを使い、SIPはUDPを使いますが、データの制御とやり取りに関してはよく似たアプローチを使います。
SIPは、(UDP/5060)制御チャンネル、また同時に実際の音声を送る選ばれたポート番号を使います。
音声を運ぶこの“multimedia”は、RTPとして知られており、UDP送信でもあります。
なぜUDPなのでしょうか?
UDPがTCPと比較してコストパフォーマンスに優れ、この種の音声送信に向いているからです。
-理想的なネットワーク状況-
インターネットを使い接続するIP電話は、遠隔地とtrixbox Proサーバーのある場所との間に、高性能で通信回線が混雑することのない接続を必要とします。
在宅勤務者のための理想的なネットワーク条件は、以下の通りです。
1. 遅延が少ないこと。
これは、パケット間の往復の時間が平均して100ms未満のであることが必要です。
2. ジッタが無いこと。
ジッタは、両者間の待ち時間の相違である。
たとえば、“PING”を使ってネットワークパフォーマンスを測り、もし90ms、90ms、91ms、89ms…と出るならば、ジッタは発生していません。
もし20ms 130ms 60ms 35msとでるならば、ジッタが発生しており、音質に影響を与えることになります。
3. パケットの損失が出ないこと。
インターネット・ネットワークが混雑しているとき、時々、データは破棄されてしまうことがあり、結局データの部分的な配送しかできないことがあります。
このような場合、音声は、どもりながら聞こえるか、もしくはまったく聞こえません。
パケット損失が少しでも生じるならば、音質は害を被ります。
-ウェブは普通に閲覧できるのに、音質は悪い。 なぜ?-
ウェブはTCP/IP上でHTTPプロトコルを使いまが、それは遅延やジッタ、またパケット損失に敏感ではありません。
IMAP、POPとSMTPプロトコルを使用しているEメールにも同じことが言えます。
ウェブとEメールは、自動的に行方不明のデータを再送信する、TCP/IPを使います。
Eメールとウェブのために使われている接続方法は、SIPには適合しないかもしれません。
-ネットワーク障害の原因を探し出す-
コンピュータに入っているファイアウォールは、ジッタの原因となり得ます。
またジッタは、混雑したインターネット接続が引き起こすこともあります。
IP 電話を使っている間、大量のデータ(ウェブの閲覧、Eメール、ダウンロード、その他)によって回線は非常に混み合ってしまうことがあります。もしお使いの ルータまたはファイアウォールにQoS機能があるならば、それを用いてVoIPの送信を最優先にするよう設定することができます。
QoSの使い方
両者間のインターネット回線が混雑するならば、音声品質は劣化してしまいます。
回線の混雑は下記のような状況で発生します。
* メイン・オフィスで
・ウェブやEメールの使用量が非常に大きい。
・ネットワーク上のコンピュータウィルス。
・これらの問題はQoS設定により解決できる場合があります。
* 在宅など遠隔地で。
・通話中のウェブやEメールの使用。
・ネットワーク上のコンピュータウィルス。
・Voipの使用に耐えない安価なモデムの使用。
・これらの問題はQoS設定により解決できる場合があります。
* 両者間(インターネット上)で。
・この場合、自分で問題を解決することはできません。
・両者が同じインターネット・プロバイダを使うことにより問題を最小限にすることができます。
-DSL/ケーブル・インターネット接続について-
ほとんどの在宅勤務者は、自宅でDSLまたはケーブルモデムサービスを利用しています。
これらの接続方法は、trixbox Proを使うのに適合しており、回線が混雑状態になることもありません。また、非常に安価なモデムで接続することができます。(別名:CPE)
一般的に、これらのモデムの製造コストは50ドル未満で、コストを抑えるために機能面がシンプルにされています。
一つの一般的な問題は、一つのパケットバッファを、双方(発信・着信)のパケットで利用するということです。 これはウェブ閲覧とEメールにとっては最適なのですが、VoIPどうし、また他のプロトコルとの接続において、VoIPパフォーマンスの質を悪くしてしまいます。
たとえば、今までVoIP音声は問題なく聞こえていたのに、Eメールでメッセージをダウンロードしてとたん、音質が悪くなる、といったことが起こりえます。しかし、これらの障害は防ぐことが可能です。
下記の提案を挙げます。
T1接続はたいてい、DSLやケーブルモデム以上に優れたパフォーマンスを持つルータにより接続されます。遠隔の在宅勤務者にとってT1接続がDSLより良いのはそのためです。
ま た多くのT1ルータは、さらにVoIPパフォーマンスを強化することができるQoS機能を備えています。 それに加えて、インターネット・プロバイダー は、申込み率が一般的に低いため、T1ユーザーにより高いレベルのパフォーマンスを提供しています。 確かにコストは他と比べてかかるものの、インター ネット上でVoIP使う予定であるならば、それだけの価値があると言えます。。
-在宅勤務者のための最善の方程式-
1. 主に使用する場所では、DSLやケーブルではなく、T1インターネット・アクセスを使うようにします。 コストが多少かかるものの、確実に安定したパフォーマンス得るために必要となります。
2. お使いのルータやファイアウォールがQoS機能をサポートしているならば、それを起動させ、SIPとRTPプロトコルを優先するよう設定します。
VoIP認識してくれるQoS機能がついていないならば、器材を取り替えることをお勧めします。QoSの使い方
3. 接続する両方の端末で、QoS機能を持つ、推奨されているルータのうちの1台を使うようにします。
4. QoSソリューションによって回線容量を制限することができるならば、インターネット接続速度より少しだけ下げて設定します。インターネット接続速度は、 ADSL線速度テストで知ることができます。 最大速度から5-10Kb程低く設定することにより、DSL/ケーブル・モデムでパケットがパンクしないよ うにします。 これにより全体的なパフォーマンスを向上させることができます。
5. 2つのインターネット接続回線を持つことをお勧めします。一つは既存のデータ・アプリケーションに、もう一つはVOIP電話とtrixbox Proサーバーのために使用します。メインオフィス、また自宅(遠隔地)において、この方法を使うことができます。その場合、QoS能力を持つ器材は特に 必要ではありません。
6. できる限り、メインオフィスと遠隔の自宅やオフィスを、同じインターネット・プロバイダーを利用して接続します。 通常、同じプロバイダーのネットワークの上のパフォーマンスは、複数のネットワークを横断しなければならない接続方法より、優れています。
7. できれば、trixbox Proシステムと遠隔の在宅勤務者の間でNAT装置を取り外します。
8. もしNAT構成を使わなければならないならば、ポート転送設定よりむしろ、「DMZホスト/サーバー」構成を使うようにします。これによりルータ、またファイアウォールで無駄なCPUを費やすことなく、最適なパフォーマンスを提供します。
1. メインオフィスでこの設定を使うと、trixbox Proサーバーに全てのパケットが送信されます。
2. 自宅(遠隔地)でこの設定を使うと、IP電話に全てのパケットが送信されます。
3. IPアドレスが変わらないように、DHCPで IPアドレスを確保するか、自宅で使用している個人のネットワーク上で、固有のIPアドレスを確保します。
固有のIP Addressを選ぶ際、、DHCP IP アドレスの枠外で(重なることが無いように)選択してください。
9. 任務の重要な在宅勤務者のためには、その遠隔地でケーブル/DSL接続の代わりに、T1インターネット・サービスを利用することお勧めします。
-最善のVoIP料金サービスの公式-
長距離電話料金を減らすために、PSTN(Public Switched Telephone Network)を通しての電話でVoIPサービスプロバイダを利用する予定であるならば、気をつける必要があります。
不十分なネットワーク構成の結果、結局通話音質が非常に悪くなってしまうことがあるからです。
通常、T1/PRIのような従来のPSTN接続の使用は、良く設計されたVoIPソリューションの使用とコスト面ではさほど変わりません。
VoIPソリューションのみを使用すると決定する前に、慎重に考慮することが大切です。
1. 良いVoIPプロバイダーを選ぶ。
1. 品質とカスタマー・サービスの両面で良い評判を得ているプロバイダーを選びます。
2. 地元にローカルのPSTNゲートウェイがあるかどうか確認します。
た とえば、あなたのオフィスが沖縄にあり、VoIPプロバイダーの施設が東京にしかないのであれば、PSTNに達する前に通信データ全てが沖縄から東京まで インターネット上を通る必要が生じてしまい、そのプロバイダーは適切ではないと言えます。経路がより短いものが、より適切なものなのです。
2. メインオフィスにおいてケーブル/DSLインターネット・サービスを利用しない。
ケーブル/DSLインターネット・サービスは50%以下の成功率しかないということが証明されています。この点で時間を浪費する必要はありません。
3. 専用のT1ネットワークで、メインオフィスからVOIPネットワークに直接アクセス可能なVoIPサービスプロバイダ選択する。
VoIPプロバイダーとの接続にインターネットを介するということはお勧めしません。
4. VoIPとウェブやEメールを同時に使用する予定であるならば、必ずQoSソリューションを使用する。
5. もしNAT構成を使わなければならないならば、ポート転送設定よりむしろ、「DMZホスト/サーバー」構成を使用する。 これによりルータ、またファイア ウォールで無駄なCPUを費やすことなく、最適なパフォーマンスを提供します。 この設定を使うと、trixbox Proサーバーに全てのパケットが送信されます。
6. VoIPサービスを利用してファックスの送受信をしない。 trixbox Proシステムは、インターネット・ファックスサポート(11/2005現在)をしていません。
ご覧の通り、遠隔の在宅勤務者または長距離電話のVoIP料金サービスのため、VoIPを使いシステムを設定しようとすると、非常にプロセスが複雑になってしまいます。
事前によく計画し、適切なネットワーク設備や器材またサービスのために予算をたてるならば、音声品質にの問題で頭を悩ませることはなくなります。